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日本三大清流の一つである川の名が付いた四万十町。2006年に窪川町・大正町・十和村が合併した、高知県西南部に位置する高岡郡四万十町の旧窪川町地区は養豚が盛んに行われた歴史を持ち、現在は窪川養豚協会の会員である4軒が「四万十ポーク」を飼育・生産しています。
一般的に、温暖で昼夜の寒暖さも激しい環境は畜産には向かないと言われています。しかし、この地で育まれてきた養豚の文化を守ろうとする人の思い、知恵と工夫により、柔らかな肉質と良質な脂、甘みが特長の「四万十ポーク」が生み出されました。県外のスーパーでは取り扱いが少ないこともあり、美味しさを聞きつけた豚肉ファンや観光客らが地元の飲食店に行列を作るほど話題に。ブランド豚としてさらに確固たる地位の確立を目指し、4軒の養豚場が連携してさまざまな取り組みが進められています。
窪川養豚協会の会長であり「四国デュロックファーム」の代表も務める佐竹宣昭さんに、「四万十ポーク」の美味しさやこだわりを深掘り、ファームで取り組む6次産業化についてお聞きしました。
四万十ポークはブランドとして安全性と高品質など一定の基準を設けながら、生産者のこだわりや個性も大切にしようとする試みがなされている。
「四万十ポークには麦豚、米豚、芋豚の3種類があります。ベースとなる餌は共通する物を使用していますが、最後の仕上げには生産者のひと手間が加わります。そのひと手間が同じ四万十ポークでも脂身がさっぱりしていたり、濃くて甘みが出ていたりと、味わいの決め手になっています。食べ比べをしてもらって、好きな風味の物を見つけてほしいですね」と、佐竹さんが四万十ポークの楽しみ方を教えてくれた。
さらに「四万十ポークのニーズの高まりを感じている」と自信をのぞかせ、まだまだたくさんの人に届けられるという意気込みを感じることができた。
4軒の養豚場で3種類の四万十ポークが作られているのだか、平野協同畜産は餌の配合で麦を多くし味わい深い麦豚を飼育・生産し、衛生管理を徹底することで農場HACCAPを取得している。山中畜産と渡辺畜産は地域内で作られた米を配合した飼料を使用し、柔らかく甘みのある味わいの米豚を。そして四国デュロックファームでは芋や米、麦や大豆を独自ブレンドした餌を与えて芋豚を育てている。その味わいについて佐竹さんは「芋豚は脂が甘くてジューシー」と解説してくれた。
厳格なルールの下で飼育・生産するのではなく、生産者それぞれが美味しさを追求しながら品質を高めていく。この仕組みはある意味で画期的と言えるのではないだろうか。
四国デュロックファームのこだわりは餌だけではない。「一般的には生まれてから約180日で出荷していますが、当農場は約210日です。この30日間で味がしっかりのってきて、脂身も変わってくるんです。ほどよくサシが入り赤身が柔らかく、きめ細やかな食感を生み出しています」と佐竹さん。
さらに「新鮮さにもこだわっています。豚肉がもっとも美味しいのは農場出荷から5日前後と言われています。農場から食肉センターへ、そして自社加工場を経由してお客様の元へと届くまで5日間です。この間、一度も冷凍しないフレッシュポークだから美味しさが全然違うんです」と熱く語ってくれた。
長く飼育すればするほど当然コストもかかってくる。時間も手間も惜しまず、美味しさを追求する心意気には感服する。
高知県は温暖な気候。人間と同じように豚も夏バテをする可能性があるため健康管理は重要と言える。四国デュロックファームでは「敷地内に設けたキッチンで飼料と水を配合してリキッドフィードという餌を作っています。液状飼料のため夏でも食欲が落ちずモリモリ食べてくれる」と、年間通して美味しい豚肉を届けるための工夫も明かしてくれた。
また、高知県最大規模で年間約12,000頭の養豚を出荷する農場として6次産業に取り組んでいる。「新鮮な豚肉をもっとも美味しい状態で届けることができます。精肉加工はもちろん、ハムやパテなども製造しています。加工食品の中でもソーセージやチャーシューはおすすめ」と佐竹さん。四国デュロックファームの「粗挽きソーセージ・プレーン」はソーセージの本場、ドイツの農業振興協会が主催する国際ハム・ソーセージ品質コンテストの金賞を受賞した実績を持つ逸品だ。
飼育・生産、加工、販売を一貫して手掛けることにより、厳しい声も含めて顧客の声がダイレクトに届くようになる。この声は間違いなく事業に携わる人のモチベーションになり、さらに美味しい物、品質の高い物を目指すきっかけにもなるだろう。
美味しさをとことん追求する4軒の生産者が飼育・生産する四万十ポークは、年間で40,000頭前後が出荷されている。佐竹さんは「豚肉のイメージが変わります。お肉として自信を持って出している」という言葉で締めくくった。
焼く、煮る、蒸す、揚げるなど調理のバリエーションも豊富な豚肉は、いろいろな楽しみ方ができる。四万十ポークの麦豚、米豚、芋豚、それぞれの風味の違いを楽しみながら、お気に入りの肉と好みの調理法を見つけてみてはいかがでしょうか。
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