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カツオ 高岡郡中土佐町久礼 有限会社 田中鮮魚店 田中 隆博 カツオ 高岡郡中土佐町久礼 有限会社 田中鮮魚店 田中 隆博

イメージが覆る
高知・土佐久礼産「カツオ」
美味しさを見極める
漁師町の3プロ

高知県の名物と言えば「カツオ」。知名度だけでなく、高知県人のカツオ好きはデータからも読み取ることができ、都道府県別の高知県(高知市)の消費量は2位に倍以上の差をつけて1位で、全国平均の5倍以上と群を抜いています。郷土を代表するものとして選ばれた県魚は、もちろん「カツオ」です。

自他ともに認めるカツオ好きの高知県人の中でも、町全体で魅力を発信しているのが漁師町・中土佐町久礼です。高知市内から車で約45分の場所に位置し、久礼漁港で水揚げされた魚が集まる久礼大正町市場は140年以上も前から営業。新鮮な生カツオやカツオ料理が食べられることでも知られています。

久礼大正市場内で「田中鮮魚店」を営む田中隆博さんは、「カツオ」の美味しさを見極める目利きのプロ。釣るプロを支え、地元の食べるプロや観光客に美味しい「カツオ」を食べてもらいたいと日々奮闘する田中さんに美味しさの秘訣と魅力を聞きました。

Contents

400年以上続く一本釣り漁

高知とカツオの歴史の始まりは約3500年以上も前。縄文時代から食べられ、平安時代の文献には土佐から朝廷にカツオが納入された記録が残っている。また徳川家康にはカツオ節を献上していたのだそう。

古くからカツオ漁が盛んだった高知県・中土佐町久礼では現在でも昔ながらの一本釣り漁が行われている。「カツオは特別繊細で傷みやすい魚です。釣り方や鮮度で味が大きく変わるため、1本ずつ釣り上げてすぐに氷の中で冷やすことで鮮度を保っています。日戻り漁なので久礼のカツオは特に新鮮ですよ」と田中さん。漁法から美味しさの追求が始まっていることが伝わってくる。ちなみに日戻り漁とは、港から24時間以内に戻れる近い場所で漁をすること。釣ったカツオは翌朝には市場に並んでいるのだそう。

カツオ好きが鍛えた
鮮魚店の目利き力

田中さんは「海流や水揚げされた漁港だけでなく、初ガツオや戻りガツオなど獲る季節によっても味わいが全然違います。高知県のカツオはさっぱりとした物が多いですが、同じ魚とは思えないぐらい1本1本味が違うんです」と言う。では一体、どのように個体差があるカツオの新鮮さや美味しさを見極めているのだろうか。

「久礼には、カツオの味の違いが分かる“食べるプロ”がたくさんいます。お酒を飲む人はもっと多いかもしれませんが、2~3日に1回ぐらいの頻度で3~4切れは食べて、今日のはさっぱりしているとか脂がのっているとか。食べる人の味の違いがわかる技術がとても高いんです。売る私たちも味わいを細分化して目利き力を身に付けていきます」と教えてくれた。

他にも目の透明感、身の色や締まり具合などで良質なカツオを見極めるのだが、久礼ではさらに高い技術が求められる。「例えば釣り上げた時や冷やすために氷に入れた時、衝撃でカツオの身が傷ついたとします。小さな傷でも時間が経つと鉄分のような独特の臭いが出て味が落ちる場合があり、万が一目利きの際に見落とすと食べるプロから厳しい声をいただくことに。触ったり捌いたりした時の微妙な風合いを見極め選別していきます。見て触って、鮮度と旨みを判断します。手で味が分かるというのは久礼の技術です」と、売るプロのプライドを語ってくれた。

美味しさ3プロのトライアングル

味の違いが分かるカツオ好きの「食べるプロ」。その期待に応えるために目利き力を身に付ける「売るプロ」。鮮魚店など売るプロに選ばれるため1本1本、丁寧に釣り上げて鮮度を維持する「釣るプロ」。とてもシンプルだが“美味しいカツオを食べたい届けたい”という思いと3プロのプライドが美味しさの秘訣と言えそうだ。

田中鮮魚店では、厳選されたカツオを県内外に発送もしてくれる。「時間が経つとベストな状態からはかけ離れた味わいになってしまうため、2日以上かかる時はタタキにしてくださいと伝えています。カツオは臭いというイメージを持たれている人が多いので、払拭していきたいんです。高知に食べに来られた観光客は全然臭くないと驚かれますよ」と田中さん。美味しいカツオを確実に届けるために努力を続けている。

タタキ作りも地域ぐるみ

カツオ料理と言えば、やっぱりタタキ。店によって焦がし焼き、燻し焼き、あぶり焼きなどこだわりの焼き方と焼き加減があり、薬味やタレにも個性が光る。「うちでは藁を使って焦がし焼きをしているので香ばしさが強い」と、田中鮮魚店のタタキの特徴を教えてくれた。いろいろな店で食べ比べし、お気に入りの味を探したくなる。

「カツオのタタキ作りは藁が必要。香りが柔らかくて火力も強く、殺菌作用もあるので傷みやすいカツオには特に良いんだと思います。でも米作りは機械化が進み、藁は肥料にするのが一般的に。今では炭俵は高級品になり手に入れるのがとても難しくなりました。うちは親類の稲刈りを手伝って藁を、下火の種には近隣の製材所から四万十のヒノキや周辺の木材などを仕入れています」と、美味しさの裏に隠された地域の繋がりも教えてくれた。

漁も調理もサステナブル

久礼漁港のカツオ船は7~8人乗りの小型船で、日戻り漁のため使用燃料が少ない。さらに一本釣りは持続可能な漁業として世界から注目されている。「競りで仕入れたカツオの15%ほどは生やタタキでは食べられない品質でゴシと呼ばれる物です。熱を通して加工すると美味しく食べられることが分かり、いぶしてスライスした“THE タナカのツマミ”として販売。アラは堆肥にして農園に提供しています」と環境に配慮した漁であることや自然循環を進めていることも教えてくれた。

高知の魚と技術で美味しさを届けたい

田中鮮魚店では高知・土佐久礼産カツオの美味しさを全国に届けるために、「生カツオのタタキ」だけでなく「冷凍カツオのタタキ」の製造にも力を入れている。カツオはお出汁として重宝されるほど旨味が凝縮し、栄養も豊富な魚。目利きのプロ・食べるプロ・釣るプロが自信を持って届ける新鮮なカツオをぜひ味わっていただきたい。

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