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フィッシュレザー 高知県高知市 興洋フリーズ株式会社 フィッシュレザー事業部 高橋 大海 フィッシュレザー 高知県高知市 興洋フリーズ株式会社 フィッシュレザー事業部 高橋 大海

魚の皮を活用した
「フィッシュレザー」
高品質の革製品を
高知県から世界へ

700kmに及ぶ長い海岸線を有する高知県。黒潮が育む豊かな水産資源に恵まれており、岸壁に隣接した高知市弘化台の「高知市卸売市場」には多種多様な魚が並んでいます。接岸された漁船から水揚げした魚も直接セリにかけるため、その鮮度は抜群。高知県の魚は地元のみならず、関東や関西をはじめとする大都市圏に向けても広く出荷されています。

弘化台の一画にある「興洋フリーズ」は海産物の冷凍加工製造を手掛ける会社です。主に高知県産の水産物を加工して、すぐに食べられる寿司ネタや刺身を作っています。その一方で、本来廃棄されるはずだった魚の皮をレザーへ変化させた「フィッシュレザー」を使用した革製品を販売。フィッシュレザーブランド「Ocean Leather」を展開しています。

魚の皮が革製品になる。まずはそのことに驚かれた方も多いでしょう。牛革などと違って質感を想像しづらいですが、フィッシュレザーは薄くて軽いながらも高い強度を保持。ウロコの凹凸感や滑らかさなど、魚ならではの模様と手触りが楽しめます。高知県の新たな特産品として見逃せないフィッシュレザー。その魅力と誕生の経緯について、興洋フリーズ株式会社 フィッシュレザー事業部の高橋大海さんに詳しく伺いました。

Contents

魚の剥製に着想を得た
フィッシュレザー

幼い頃から大の釣り好きであったという高橋さん。大学進学を機に一時は地元を離れたが、コロナ禍の影響を受けて帰省すると再び釣りに熱中。釣り具屋を訪れた際、魚の剥製がふと目に留まったという。

魚の剥製は皮の部分に「鞣し(なめし)」という防腐処理を施して作られる。この技術を駆使すれば魚の皮も革製品になるかもしれない。そう思い至った高橋さんはフィッシュレザーの開発に着手した。牛革の作り方などに関するさまざまな文献をチェック。魚への応用を念頭に、必要な知識を独学で身に付けていった。

ホームセンターで手に入る医薬品やバケツなどの道具を揃えると、魚の「革」を作り上げる作業に没頭。剥製とは異なり質感や色味、耐久性なども考慮する必要があるため、綿密な分析が求められた。牛革の作り方がヒントになるとはいえ、魚ならではの調整も欠かせない。試行錯誤の末、約一年後に試作品の革が完成したそうだ。

独学でフィッシュレザー事業の道を
切り開いた高橋さん

縫製技術を磨いて革小物を製造

出来上がった革を知人らに披露したところ、すぐに好評を得た。手応えを感じた高橋さんは当時まだ大学生であったが、事業化を決意。実家の一画に倉庫を建てると自作の機械などを取り入れ、革小物を縫製する作業に入ったという。動画を見たり関連の業者にアドバイスを求めたりしながら、縫製技術を習得。約半年後にはキーホルダーが仕上がった。

水産関連の展示会などで紹介したところ、フィッシュレザーのキーホルダーは評判を呼んだ。次第に魚の革を継ぎ足す技術も磨かれ、サイズの大きい革製品も取り扱うようになったという。需要の高まりに応えるべく、2023(令和5)年には本格的な機材を備えた工場を新設。より質の高い製品を効率的に作ることが可能となった。

事務所併設の工場で
フィッシュレザーが生み出されている

魚種によって異なる個性

現在、Ocean Leatherは主にマダイ・ブリ・シイラ・サーモンという4種の魚の皮を使って革製品を仕上げている。4種の選定理由は加工食品になる過程で出る皮が綺麗な状態で残り、それが廃棄されてしまうから。不要となった皮を隣接する水産加工場から仕入れ、一資源として活用しようというわけだ。

とはいえ、すべての魚の皮が同じようにレザーになるわけではない。魚種によって使用する薬品の種類や量、投入のタイミングや温度にまで微調整を加える必要がある。既存のやり方はなく、うまくいかなければ魚の皮が溶けてしまうケースも。新たな魚を扱うたびに試行錯誤を繰り返す難易度の高い作業ながら「繰り返しの作業は好きなんです。誰もやっていないことだからこそ、限界が見えなくて面白いというのもありますね」と高橋さんは笑う。

特に人気が高いのはマダイのフィッシュレザー。透明感と深みを兼ね備えた美しい鱗模様がいかにも魚らしい。もともと魚や釣りが好きという人たちに大好評のフィッシュレザーだが、最近は「シンプルにデザインが好み」「革製品として質が良い」といった理由で選ばれることも増えてきたのだとか。他の革とは違う凹凸のある立体感を味わいたい。

魚種によってさまざまな表情を見せる

水産業と地元地域への思い

研究者さながらにトライアンドエラーを重ねつつ、フィッシュレザーのさらなる可能性を探り続ける高橋さん。莫大な時間を費やして多くの失敗も経たからこそ、他の追随を許さない高品質の革製品を届けられていると自負する。革の製造から縫製・販売に至るまで全工程に関わり、フィッシュレザーの魅力を発信していく。これまで経費をかけて大量に廃棄されていた魚の皮に価値を与え、それを買い取ることで、廃棄物削減や漁業者の収入向上に繋げ、水産業の発展に寄与したいとの思いも強い。

そんな高橋さんの取り組みを当初から否定することなく、現在は興洋フリーズの一事業としてサポートを続ける家族たち。ほぼ全ての作業が高知県内にて丁寧に進められていく。日本国内に比べると海外における知名度の方が高いというフィッシュレザー。Ocean Leatherの製品は海外からの引き合いも強く、革の本場といわれるヨーロッパの展示会などでも披露されているが、高橋さんは「高知県産である点には今後もこだわっていきたい」と力を込める。慣れ親しんだ高知県の海とそこに暮らす人々にも思いを寄せながら、世界に通用するメイドイン高知の逸品を手掛けていく。

Ocean Leatherを共に支える仲間たちと高橋さん

終わることのない探求の日々

今後の展望について高橋さんに伺うと「マグロやカツオなどのフィッシュレザーも製品化したいですね」との答えが返ってきた。加えて、有名ブランドとのコラボレーションについても話を進めているそうだ。すでに革素材やオリジナルグッズの提供を求める業者は増えつつあるが、現状に甘んじるつもりはない。

「結局のところ、海と魚が好きなんですよね」と語る高橋さん。探求の日々も釣りに通じるところがあり、楽しみながらフィッシュレザーを製造しているという。なお、Ocean Leatherが展開するこだわりの商品はオンラインショップにて販売中。その他にも工場併設の店舗や不定期のポップアップストアなどで買い求めることができる。多くの人が「こんな革は初めて見た」と唸る、フィッシュレザー。その新感覚の魅力に触れてみてはいかがだろうか。

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