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県土の北側を急峻な山々に囲まれた高知県。その森林率(面積の中で森林が占める割合)は84%と高く、全国1位を誇ります。太平洋に臨む長い海岸線を有することから海のイメージが強い高知県ですが、実のところは国内有数の森林県でもあるのです。
そんな高知県の東部に位置し、森林率は実に96%という全国屈指の森の村が「馬路村(うまじむら)」です。「魚梁瀬杉(やなせすぎ)」に代表される良質な木材の産地として知られ、古くは豊臣秀吉の時代、そして土佐藩となった以降も土佐の林業を支えてきました。2000(平成12)年には森の生育に関わる全てを担う第3セクター「株式会社 エコアス馬路村」を設立。木材を生産するだけでなく、循環できる森づくりのために造林を進めながら、木製品の加工・販売まで手掛けています。
ディテールにもこだわり、一つ一つ丁寧に仕上げられたエコアス馬路村の木製品。主軸となる木のカバン「monacca(モナッカ)」はニューヨーク近代美術館(MoMA)での販売を皮切りに、海外でも大いに注目を集めています。一方、ほんのり木の香りが広がる丈夫な「うちわ」は企業ノベルティとしても好評。シンプルに一商品としての価値が高く人気を集めるとともに「永遠の森づくり」に寄与する木製品の魅力について、改めて掘り下げました。
古くから良質な木材生産地としてその名を馳せ、明治以降も林野庁(営林署)直轄事業として国内屈指の木材生産量を誇った馬路村。一時は高度経済成長の後押しもあって活気づいたが、やがて安価な輸入材の増加や住宅事情の変化などによって木材価格が下落し、林業が衰退していった。その結果、適当な間隔で木を伐採して林内密度を整える「間伐」が実施されない森林が増え、森林そのものが急速に衰弱することに。森の保全という観点からも、新しい林業のシステムづくりが急務となった。
森林を救うためには間伐を進めなければならない。とはいえ、間伐するにも資金が必要だ。そこで、エコアス馬路村では通常捨てられてしまうことが多い間伐材を製品化。その利益を森林に還元して更なる間伐に繋げ、再び森を元気にしようという取り組みに着手した。
馬路村役場や馬路温泉がある、
馬路村の中心的集落
試行錯誤の末、2004(平成16)年にはスギの間伐材を使った世界で唯一の成形デザインによる木製品ブランド「monacca」の販売を開始。充実した機械設備によって魚梁瀬杉を薄くスライスし、重ね合わせて成形することで、軽くて丈夫な木のバッグを仕上げた。使い込むほどに味わいが増す木目の美しさは木製品ならではのもの。さらに、プロダクトデザイナー・島村卓実氏の手によるお菓子の最中を思わせるこだわりのフォルムも、monaccaの洗練された魅力を確立するための欠かせないピースだ。
「間伐材・自然素材という点に共感して手に取ってくださる方もいますが、お客様の暮らしをより豊かに楽しくする商品であることは大前提です」と語るのは、エコアス馬路村にて加工から営業に至るまでさまざまな仕事をこなす山田佳行さん。持続可能な林業システムの確立という長期的なビジョンを掲げながら、目の前の商品そのものが人々の心をとらえるクオリティであることも疎かにしない。手掛けた木製品をきっかけに、馬路村に対して興味を抱いてくれる人がいればいい。エコアス馬路村の木製品はストーリー性と商品としての魅力の両方を兼ね備えている。
エコアス馬路村のオリジナル木製品ブランド「monacca」
スギの間伐材を0.5mmの薄さにスライスし、木目が互い違いになるように3枚貼りあわせて作った「うちわ」も人気の木製品だ。エコアス馬路村設立当初から販売されており、無垢材ならではの香りや温かみが感じられる逸品となっている。
「こちらのうちわは縦目と横目で貼り分けているため、しなるのに割れにくいんです。実は結構こだわった作りになっています」と説明を加えてくれたのは、総務企画の役割を担う吉松ひとみさん。素材の魅力はもちろん他にない絶妙なニュアンスの形状なども、人気の理由ではないかと分析する。さらに、シルク印刷や焼印、レーザー加工による名入れができるため、メッセージ性を付加したノベルティグッズとしても需要が高いとのこと。うちわの注文は全国から入っているそうだ。
企業などのノベルティとして人気の「うちわ」
県外や海外における人気の高さが際立つエコアス馬路村の商品。それだけに、エコアス馬路村メンバーたちの「木製品を通じて馬路村や森のファンになってもらいたい」という思いも強い。コロナ禍以降はオンラインでの販売が中心となっているが、ここのところは展示会へ参加する機会も戻ってきた。自治体などとも連携を図りながら、馬路村全体を盛り立てていく。
近年はゆず栽培が盛んで「ゆずの村」としても存在感を示すようになったものの、人口減少問題が深刻化する馬路村。山のこれからを担う人を雇用・育成し、村の産業を支えるという切り口からも、エコアス馬路村の事業が成果を上げることの意義は大きい。馬路村での暮らしについて山田さんに伺うと「都会に比べれば確かに不便な面もありますが、遠出せずとも目の前の自然に囲まれて川遊びできるなど、それを補って余りある魅力にあふれています」との答えが返ってきた。馬路村の豊かな自然とそこに住む人々の営みにも思いを馳せながら、木製品の風合いを楽しみたい。
馬路村と事業への思いを
語っていただいた山田さん
販売開始20周年を迎えたmonacca。さまざまなライフスタイルに寄り添う普遍的なデザインと唯一無二の質感は多くの人々に愛されており、森林県・高知の認知度向上という点ですでに一定の役割を果たしている。うちわも含めて売り上げの一部は森林育成や保全活動に役立てるため、馬路村が設立した「千年の森基金」にも積み立てられているという。
より人々の生活に馴染む良質な木製品を人口800人ほどの村から世界に向けて発信していく。地域の森に根差した取り組みが今後どのような成長を遂げていくのか、引き続き注目だ。
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