高知県産品やECサイト情報をご紹介!!
温暖な気候と長い日照時間に恵まれた高知県。古くからビニールハウスなどを利用した野菜の促成栽培が盛んな「園芸王国」です。中でも県東部に位置する安芸市は「施設園芸の先駆けの地」といわれており、施設園芸の主要作物である「ナス」を全国の大消費地へ出荷。冬春ナスの生産量は全国一を誇ります。
地味肥沃な土壌を生かした高品質なナスが栽培されている安芸市。その一画で食味、見た目共に優れたナスを手掛けるのが「せんとうふぁーむ」です。とろけるような食感とリンゴのような甘味が楽しめる、せんとうふぁーむのナス。艶やかな紫色とハリは、情報収集やその分析による繊細な水分コントロールの賜物といいます。ナスの大産地である高知県において、どのようなこだわりを持ちながら栽培を行っているのか。これまでの歩みや今後の展望も含めて、せんとうふぁーむの代表を務める仙頭明伸さんにお話を伺いました。
「こちらのナスは雨風に当たらないため、皮が薄くて食味が良いんです」と語る仙頭さん。ハウス内のナスに日々目を配り、感覚を研ぎ澄ましながら栽培に当たっている。とはいえ、経験と勘を頼みに動いているわけではない。植物生理学をベースに、情報収集とその分析による環境制御技術を導入した農業を進めている。
えぐみがなく見た目にも美しいナスを作るべく、水分コントロールにはとりわけ気を配っているそうだ。ナスに水を与える「灌水」の作業は自動で管理。灌水方法についても効率の良い「点滴灌水」を採用するなど、最先端の技術を積極的に取り入れている。情報収集とその分析による栽培管理を徹底した上で、ナスの状況を丁寧にフォロー。美味しいナスをバランスよく育てるために労力を惜しまない。
せんとうふぁーむの代表を担う、仙頭明伸さん
手塩に掛けて育てたナスの多くは県外へ出荷。大消費地までは距離があるため、いかにして鮮度を保つかということも重要なポイントとなる。せんとうふぁーむでは鮮度維持装置を導入。出荷時点で鮮度維持処理を施し、鮮度維持の要である水分の保持効果を高めることに成功した。同装置はもともと生花向けであったというが、野菜にも応用できないかと考えた仙頭さんが自ら効果を試験。明らかな変化が認められたため、採用するに至った。
新鮮なものをすぐに卸すことが野菜にとってはベスト。しかしながら店頭に並ぶまで多くの事業者を介す以上「生産者から鮮度保持の意識を高めていかないと」と仙頭さんは言う。良いものをより良い状態で届けることが生産者の仕事。実際に口へ運ぶ人たちにまで心を向けながら、妥協のない取り組みを続けている。
収穫後できるだけ新鮮な状態でお届けしている
ナスの品種は主に、果色や形状、栽培期間などによって区分される。夏野菜のイメージが強いナスだが、安芸市の特産品である冬春ナスは6月下旬から8月中にかけての夏期を除き、基本的には一年中出荷できるという。温暖な気候を生かしながら丁寧にハウス促成栽培されたナスには良い意味で旬がない。通常ナスの収量が低下する期間もフォローできる点は、施設園芸の技術と恵まれた環境条件の双方を持ち合わせた安芸市ならではの強みといえるだろう。
ハウス促成栽培向けの代表的な品種は「竜馬」だ。収量性が高い上に品質も良く、高知県で栽培されるナスは同品種がほとんどを占めてきた。そのような中、近年は受粉作業をしなくても安定的に着果肥大する「PCお竜」が台頭。竜馬とその妻にちなんだ品種名というのがいかにも高知県らしい。
なお、PCお竜は着果の良さがメリットである一方、勝手に実が成ることから供給量の調整が難しいのだとか。気候変動も激しさを増しており、ナス栽培において需要と供給のバランスを見極めることは欠かせない。せんとうふぁーむでは気象や市況に関するデータも網羅的にチェック。生産したナスが必要とされる場所へ適切に届くよう注力している。
太平洋を望む風光明媚な場所にあるハウスで
ナスは栽培されている
さまざまな切り口からナスを見つめ続ける仙頭さん。その意欲的な姿勢には驚かされるばかりだが、2009(平成21)年に就農したときは決してモチベーションが高くはなかったという。実家のナス栽培を手伝い始めたものの、栽培スキルはなく共に取り組む同世代の知り合いもいない。しかし、2014(平成26)年に地元先進農家が主体の「あき新施設園芸システム勉強会」に参画したことが大きな転機となった。
勉強会にてデータ駆動型農業を知った仙頭さんは「これはいけるぞ」と視界が開けるのを感じたそうだ。やる気に溢れたメンバーたちと出会えたことも大きく、先進的な取り組みを実践に移していった。すでに十分な成果が上がっているものの、学びを止めるつもりはない。若い世代の担い手たちとも切磋琢磨しつつ、農業の更なる可能性を模索していく。
せんとうふぁーむは兄弟2人が
中心となって運営している
安芸市の赤野地区が発祥ともいわれる高知県のナス栽培。気象条件に恵まれていたこともあって一気に広まっていったが、だからこそ現状に甘んじていると先細りになってしまうと仙頭さんは危惧する。今後はナス栽培を農業の枠を超えた一事業として展開していきたいとのこと。栽培して終わりではない。思いを込めて育て上げたナスの魅力をどのように発信するかということまで考えながら、次世代へ繋がるアクションを起こしていく。
現在、せんとうふぁーむのナスは主に卸会社を経由して関西地域に出荷されているものの、安芸市のふるさと納税でも購入することができる。ナスが高知県を代表する野菜の一つという認識がなかった方も含め、名産地ならではの美味しさを堪能してほしい。せんとうふぁーむの公式サイトでも情報発信をしているので、訪れてみてほしい。
▶ 「高知まるごとネット」内掲載情報はこちら
自社商品を販売するECサイトを保有する
高知県内事業者が登録できる
一つでも該当する商品を取り扱っている高知県内事業者は今すぐ登録!