土佐の塩丸は、満潮時の海から汲み上げた海水を、天日や風などの自然の力で結晶させます。
火を使っての焚き上げは一切おこないません。ですので、塩になるまでには夏場で約一カ月、冬場に至っては二カ月以上も時間がかかります。まさに高知の自然が作ったお塩です。
だから、私達生産者は、自分達の事を塩職人と思った事はありません。(よく言われるのですが…。)私達は、海や太陽や風が作ってくれる塩の『おもり』をする人、『塩守り』だと思っています。
かつて、生物は海から誕生しました。そして進化を重ね、陸上に適応した生物も生まれました。ですが、陸上に適応した生物も海に住んでいた頃の記憶を宿して生きています。
我々人間もしかり。人間の体液である細胞液やお母さんの羊水は、古代の海水の成分と酷似しています。人間一人一人、海を体の中に抱えながら生きているのです。だから空気や水と同様、塩も人間にとって必要不可欠なもの、ないと生きてはいけないものなのです。そして、地球上の全てのものは、長い時間をかけ、やがて最終的に海に還っていきます。海は地球のスープなのです。
海から生まれ、海を抱えて生き、海に還る。この循環を私達は、とてもロマンチックに感じながら『塩守り』をしています。なので、私達が作る塩には、循環や調和を意味する『丸』と言う漢字を充て、『土佐の塩丸』と名付けました。
人間が生きていく上で不可欠なものだからこそ、私達は自然と対話をしながら、じっくりゆっくり守り育てたいのです。
その他の「四万十・足摺エリア」のつくる人