泉農園 長山清夫-土佐の生産者
泉農園 長山清夫
こだわりの店で並ぶ長山氏の野菜
鈴なりの「寿」
成長するにつれ、色は緑から赤に変わる。要望に応じて熟度を調整して出荷する。
高知県土佐市の長山清夫(ながやますがお)さんに会って話を聞き、高知には、こだわりの農産物を手がけている名人が多いことを改めて痛感した。
県内外で開催される勉強会に積極的に出席するほど非常に研究熱心で、その話ぶりからは、化学者が農業を営んでいるという印象さえ受けた。長山さんが育てた農産物や果実は、「らでぃっしゅぼーや」「大地の会」「首都圏コープ」「野菜ソムリエEF:(エフ)」といったこだわりのお店で並んでおり、また、全国からの取材や視察など、安全・安心・おいしいを追求する店舗や消費者からの引き合いが後を絶たない。
そして、以前本サイトでも取り上げた、高知県内でも数人しかいないピーマン「土佐レッド」を栽培しているうちの1人でもある。長山さんは、土佐レッドのほか、土佐文旦、ショウガ、サツマイモ、小夏、水稲など実に多様な農産物を栽培しているのだが、今回訪問したハウスでは、今年から取り組みはじめた「寿」というピーマンを栽培している最中だった。 この品種は現在、高知県だけでしか生産されていないという。通常よりやや遅れて植え付けをしたらしいが、立派な「寿」が鈴なりだった。
8割減農薬の要は独自の単肥(たんぴ)
「寿」は中肉で食味が良いのが特徴で、ピーマン臭さがなく、豊かな甘みが感じられ、子ども大人も食べやすい。高知県の8割減農薬栽培認証を受けており、安心・安全の農産物として差別化が図られている。
当然、使用する農薬等を減らすことは容易なことではない。特に力を入れて説明してくれたのは肥料(土づくり)だった。
使用しているのは独自に調合した「単肥(たんぴ)」である。単肥は土中の微生物のエサとなる。炭を使った肥料も最近増えているが、長山さんの場合、ヤシ殻を燃やして作ったヤシ灰(左写真)を使っている。それに切りワラ、魚かす、油かすなどを調合し、できた畝(うね)は、通常見かけるものより2倍くらいの高さになる。 ヤシ灰の入った単肥を元肥と追肥に使うことで、病気にかかったり害虫に悩まされることが少なくなった結果、農薬の使用量を抑えられるという好循環だったのだ。 専門的な目で見ると、ヤシ灰を使うことによる利点は多岐にわたると言われている。
技術力の高さが言葉
天敵による害虫の駆除等、施設栽培の強みを生かした栽培方法は全国でも先進的であるし、 長山さんのように独自の研究、こだわりを持って栽培に取り組んでいる農家も多く、高知県農業は、安全・安心を追求するための技術力は非常に高いと言われている。 土佐の匠農家は口下手だが、行動が言葉となって伝わってくるのである。
生産者情報

泉農園 長山清夫
- 住所:
- 電話:088-855-0405