ヘタが鮮度を語る房なりトマト 四万十市西土佐農業公社
四万十市西土佐農業公社 中脇影則
「房なりトマト」販売までの道のり
トマトといえば、大きさは様々だが一つの「玉」のものが頭に浮かぶ。ところが、このトマトは「房」状のものを出荷するところが特徴だ。全国的に栽培されてはいるが、日頃見かける桃太郎系トマトほどは知られていない。元々、こちらの農業公社では実験的に農作物の試験栽培を行い、農家へ普及することが目的。自分達の持つ技術で作れるトマトを探している時に、この房なりトマトに出会ったそうだ。苦労されたのは、その販売方法とのこと。試験栽培だったため、一定量を安定して収穫できず販売方法を試行錯誤していた。そんな中、地元にある大型量販店のバイヤーの目にとまった。上記の条件も「作物の収穫はそのようなものですので」と理解が得られ、販売に至った。また、県下ではこれまで房なりトマト栽培を試した農家の方がいたそうだが、出荷はトレイの上に乗せた商品をラップで巻いたものが主流だったため、重ね積みが出来ず産地の近くにしか出荷できなかったそうである。重ね積みをして遠方まで出荷できるようにパック詰めになったことが、販売地拡大のカギである。
「房なりトマト」のポイント
パック詰めされたトマト。新鮮さの秘密は茎にある!
よく見かけるパック詰めトマトは、頭のつるつるした面が上になり店頭に並ぶが、このトマトはヘタを上に(パック詰め)して販売されている。店頭に並んでもヘタがへたらず新鮮なままで日持ちが良いことが見て取れる。まさに「ヘタが鮮度を語る」トマトである。中脇さん曰く、「茎に残っている水分や栄養分が収穫後もトマトに回っているんですよ」と。
味は、青臭さとちょっぴり酸味がある普通のトマトである。高糖度ではない、さっぱりした味にこだわっているそうだ。
さっぱりとした味にこだわりがある。
「房なりトマト」へのこだわり
上:熟すのも裂果しやすいのも房の本(上側)から。左:ハウスに入るとトマト独特の香りに包まれる。
トマトを栽培しているハウスを見ると、大体6~7個の実が1房についている。「一番頭が痛いのは収穫時期の裂果(果実が裂けること)」と中脇さん。房なりであることがこのトマトの最大のポイントであるため、裂果した実が出ると、その房の商品としての魅力が下がってしまう。「でも1房に3個以上の実が付いていないものは出荷しません」と、一番のこだわりを見せる。
またパック詰め作業も熟練の専門職員2名のみで行い、商品にするかしないか、内容量の判断は一定基準で行っているとのこと。そして「1房で1パック作ることがこれからの課題」と、熱い抱負を語ってくれた。
「房なりトマト」オススメの食べ方
高糖度トマトが多い中で、青臭さと少しの酸味を味わうことが出来るこのトマト。「トマトとは何かと考えた時に、田舎の人間なら青臭いトマトをもいで食べる」と中脇さんは語る。フルーツ感覚ではなく、カットしてマヨネーズをかけるなどして「おかず」として食べてもらいたいとのこと。また台所や食卓に房ごと掛けておき、食べたい時にもいで「おやつ」として食べるのもいいのでは、と勧めてもらった。
「房なりトマト」を食べるには
商品を詰めているパックは、丁度の大きさに合う既製品を探してコストダウンを図ったとのこと。一般家庭で、手頃な値段で気軽に食べることが出来るようにという計らいが嬉しい。ただ試験栽培を開始した当初より作付け面積が増えたものの、まだまだ生産量が限られている。インターネットでの販売は行っておらず、購入の際には地元量販店にてお求めを。
生産者情報

四万十市西土佐農業公社 中脇影則
- 住所:
- 電話:0880-52-2666