白木谷流 四方竹 ピリシャキ漬け
南国市農業協同組合
四万十市で長い歴史を持つ酒蔵・藤娘と同市富山地区。その藤娘酒造と富山地区のコラボレーションから生まれた梅のお酒「四万十 梅の酒 とみやま」が10月22日に発売開始。食中酒を目指したという「四万十 梅の酒 四角い形をした切り口から、その名がついたタケノコ“四方竹(シホウチク)”。春ではなく、秋に収穫される珍しいタケノコで、高知県、特に南国市の特産品・秋の味覚として知られています。
その四方竹をキムチ風味で加工した「ピリシャキ漬け」を、南国市農業協同組合と協力して生産・販売し、全国に発信している「白百合グループ」を取材。
固く、傷みやすいことから食用に不向きの四方竹を使った「ピリシャキ漬け」の誕生秘話をはじめ、同グループの活動などについてもお話を伺いました。
高知県南国市の特産品・四方竹を使った「ピリシャキ漬け」。シャキシャキとした歯ごたえとキムチの風味が絶妙にマッチ! ビールのおつまみにもピッタリで、リピーターも多い人気商品ですよ。 (吉祥寺高知屋 児玉店長)
全国でも珍しい四方竹の食用加工品
四角い切り口が特徴の四方竹。食用加工しているのは全国的にも珍しいとか。
高知県内では主に南国市白木谷で栽培される四方竹。世間一般には、和風庭園や生垣に使われる竹の一種として知られる他、整腸作用のある食物繊維や高血圧の予防に役立つといわれるカリウムが豊富に含まれており、健康を話題に扱うTV番組で取り上げられるなど近年注目を集めています。
しかし、傷みやすく遠方への発送には向かず、また皮が固く作業が大変なことから、食用品としてはあまり知られていない存在でもあります。
そんな四方竹を「ピリシャキ漬け」として全国に紹介しているのが「白百合グループ」です。
高知県内では、普通にスーパーや直販所で販売されている四方竹の食用加工品。他県ではあまり見られない光景です。
白木谷のあちこちで見かけられる四方竹。10月に入るとタケノコが次から次へと地面から顔を出し、収穫に追われる毎日だとか。
「ピリシャキ漬け」の生産者は元気な女性たち
「白百合グループ」は白木谷地区のタケノコ生産・加工農家の女性たちにより、昭和51年に結成。
以後、地域食材を使った地産地消の加工品やレシピの開発を中心に、地元の小学校での地元料理の伝承や染め物研究などを行い、平成13年には「女性グループの生活・生産活動に関する表彰」にて、農林水産大臣賞を受賞。また、平成17年には農家レストラン「白百合亭」をオープン。農業と並行して、地域活性や地元料理の伝承など多方面で活動しています。
そんな彼女たちが、「ピリシャキ漬け」を開発したのは、平成11年のこと。以前から肥料に使ったり、廃棄していた四方竹の下にある節と節の間の柔らかい部分を食用品にできないかなと思ったのがはじまりとか。その後、2年近くに渡りアイデアを重ね、四方竹を塩蔵(塩漬けにし、2~3ヶ月冷暗所にて熟成)し、塩を抜いた後、キムチ風味のタレに漬けた「ピリシャキ漬け」が完成しました。
「最初は自分たちで商品を運んだりしよったけど農作業もあったし、四方竹が意外に場所をとるから、あんまり多く作ることができんぞね。そうしたら、南国市の農協さんから、今の広い加工所を紹介してもらって。農協さんに販売もお願いして、今は東京や大阪にも発送されゆうね」と同グループの代表・中司滋寿子さんは話してくれました。
代表の中司さん(写真右から2人目)と「白百合グループ」の方々。)
「白百合グループ」が受賞した農林水産大臣賞の賞状。
一度食べたら、すっかりファンに!
口当たりは柔らかいけど、ひと噛みするとシャキッとした食感が感じられ、程よいキムチ風辛味とタケノコの旨みが口に広がる「ピリシャキ漬け」。その歯ごたえと味わいで、多くの人の心をがっちりとキャッチ。県外から訪れた人が食べてお土産として買っていくことがあるというのも納得です。
商品化にあたって苦労したのは鮮度と見栄え。冷凍なども試したそうですが、四方竹に塩の旨みが加わることもあって塩蔵に決まったとか。
四方竹は茹で加減が大切とのこと。少しでも温度や時間を間違えると、黒く変色して見栄えが悪くなってしまうそうです。農協が用意してくれた冷水器で四方竹を冷やすことで、茹でによる傷みが減り、色が鮮やかな緑のままで出せるようになりました。「タケノコは掘ったらすぐに煮ないと鮮度が落ちるし、水が汚れたり、なくなったらすぐ腐る。早朝から忙しいですね」と中司さん。
また、中司さんが話すように、南国市農業協同組合による販売や生産への協力が「ピリシャキ漬け」の知名度拡大につながっています。
四方竹を適度な大きさに切り、上質の塩に漬けます。この後、塩抜きをしてキムチの風味と合わせます。
「ピリシャキ漬け」。シャキシャキの食感とキムチの風味が楽しめます。一口サイズで食べやすいのも◎。
"白木谷の四方竹”を伝承していきたい
「ピリシャキ漬け」のパッケージには、“白木谷流”というキャッチコピーが。これは白木谷という名称を末代にまで残しておきたいという強い気持ちが表れています。また、裏のラベルには中司さんをはじめとするグループの顔写真と白木谷などの紹介が一緒に掲載されています。商品発売当時、生産者の顔があまり見えなかった時代に、「こんな人たちがこういう所で一生懸命に作っているよ」ってお客さんに知って欲しいという思いからだそうです。
最後に白木谷の四方竹、「白百合グループ」の今後について、中司さんに聞くと「30年以上やっているので、そろそろ後継者がほしいですね」と笑いを交えながら答えてくれました。
白木谷では小学生らを対象にした農業体験も行われており、彼らの中から「白百合グループ」を継ぐ人が出てくるかもしれません。
素朴な自然風景と空が心をリラックスさせてくれる南国市白木谷。高知県屈指のタケノコ栽培地です。
商品の裏には生産者の写真と商品PRの文章が記されています。
生産者情報

南国市農業協同組合
- 住所:〒783-0005 高知県南国市大そね乙894-1
- 電話:088-863-2415