おいしい肉だからこそ、絶やすことはできない/土佐あかうし生産者-川井規共さん
土佐和牛ブランド推進協議会
「幻の和牛」とも呼ばれる土佐あかうし。
そのルーツは明治時代にまでさかのぼります。農耕用の使役牛として飼われていた朝鮮牛(韓牛)をベースとして、外国品種や在来種などとの交配を経て、大正時代から徐々に高知の風土に適応した牛へと、選抜と改良が県内のみで独自に重ねられてきました。
昭和19年に黒毛和種、無角和種とともに褐毛和種・高知系として認定を受けた、高知にしかいないオリジナルブランドの和牛です。
国内の和牛頭数の約0.1%ほどしかいない希少な土佐あかうしを、守り育て続けている若手生産者・川井規共さんにお話をうかがいました。
土佐の山里から届く、若き生産者のまっすぐな想い
町面積の約85%が山林の土佐郡土佐町。棚田の名所としても有名な山の中腹に川井規共さんの牛舎はあります。一家で土佐あかうしを育てており、規共さんは三代目。もともとはおじいさんが農耕用に飼育したのをきっかけに、お父さんの代で本格的に飼育するようになったそうです。
しかし、土佐あかうしを守り続けるのも簡単な話ではないよう。
「子牛はえさを食べないことがあったり、季節の変わり目に体調をこわしやすくなったり…牛はデリケートなので、なるべくストレスをかけないように育てることが大変ですね。また、霜降り肉の人気が高いため、霜降りが入りやすい黒牛に比べると販売価格が低くなってしまうんです。味は黒牛に負けないぐらいおいしいと思うんですが」
それでも土佐あかうしにこだわり続ける規共さん。
「以前は、土佐あかうしの生産者はたくさんいましたがどんどん少なくなってきています。でも、土佐あかうしを無くしたらいかんと感じます。その理由はやはり『おいしいから』ですね!」
飼育のモットーは『安心安全、そしておいしく』という規共さんは、今日も牛たちを優しくまっすぐな目で見つめています。
古き良き田舎の風習が育む土佐あかうしのおいしさ
規共さんの牛舎でこだわっているのが、牛たちに与える『えさ』。
「まず水は地元の山水。山がつくり出すキレイでおいしい水を牛たちは毎日飲んでいます。そして自分たちの牛舎では通常のえさに加えて、地元の稲ワラを与えるのがこだわり。稲ワラは自分たちの田んぼと近所の田んぼから集めるんですが、確保することがとにかく大変なんです」
刈り取った稲はそのままでは使えないそうで、地元で『すぼつき』と呼ばれる形に稲をまとめてまずは乾燥させ、その後寝かせなければいけないそう。稲ワラを確保するために、ご近所さんの田んぼを規共さん自ら刈りに行くことも多いとか。
「与えるえさによって肉の味は変化します。手間も時間もかかるのですが…やはりこの味には代えられませんね」
ちなみに、牛たちの糞は堆肥として再び田んぼに帰って行くんだそう。地元にとっても土佐あかうしの存在は大切なようです。この日も牛舎の周りにある田んぼにはすぼつきがズラリと並んでいました。心和む田舎の景色にも、人の想いが詰まっているんですね。
赤身の旨さは極上級!ほどよいサシが口どけも絶品
「手前味噌ですが、おいしいから自分でも食べたくなるんです」
という規共さんは、出荷した牛肉を自ら地元の量販店で購入して食べることが多いそう。おいしさの魅力は?との問いには「赤身のおいしさ!」と自信たっぷりに即答。
土佐あかうしの赤身には濃厚な旨みと優しい甘みがあり、熟成によってさらに味わいが深くなるんだそうです。
また、細かいサシも赤身のおいしさを引き立てる優秀な相棒。
「脂の融点が低くヘルシーな食べ心地がします。赤身の旨みをしっかり楽しんだ後に、口どけの良さも楽しめる…土佐あかうしは贅沢なお肉ですよ」
では、規共さん一押しの土佐あかうしの楽しみ方を教えていただきましょう!
おすすめの食べ方
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●もも肉のタタキ表面を軽く焼くタタキは、赤身のおいしさを堪能できる逸品!脂の少ないモモ肉でぜひお試しを。 |
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●ケバブ風お肉をかたまりの状態で炭火焼きし、そぎながら食べるケバブ風も絶品。塩コショウでシンプルにどうぞ。 |
川井規共さんから一言
食べてくださった方が「おいしい!」と笑顔になれるよう、家族全員で大切に育てています。土佐あかうしは育てた自分たちもおいしいと思う最高の牛肉です。
一度食べていただければご納得いただけるはず…ぜひご賞味ください!
生産者情報

土佐和牛ブランド推進協議会
- 住所:高知市海老ノ丸13-58
- 電話:088-883-4413