塩一粒に「おいしさ」と「心」を込めて/企業組合ソルトビー
企業組合ソルトビー
注目度上昇中の黒潮町佐賀の天日塩。
おいしい天日塩は美しい自然環境から生まれる!
高知県の自慢のひとつでもある美しい海。その海水を原料に、さんさんと降り注ぐ太陽の光と、海から届く風を利用して作られているのが「天日塩」です。太平洋に面した市町村のなかでも天日塩事業者が集中する黒潮町佐賀は、海岸線沿いに天日塩製造に欠かせない採かんタワーや「塩の道」という立て札を見ることができる高知県屈指の塩の町。その歴史も古く、1333年から塩作りが始められていたという記述が残っているそうです。
そんな黒潮町佐賀で天日塩事業者として草分け的存在であるのが「企業組合ソルトビー」さんです。製造工房がある熊野浦地区は人口が少ないため生活排水が少なく、さらに植林されていない山林がほとんどで、ミネラルを含んだ水が山から流れ、清らかさを保ったまま海へと流れ出るという塩作りに最良の環境条件となっています。
働き者のミツバチのように、
毎日一生懸命・毎日楽しく塩作り
塩一粒一粒にミネラルとおいしさを閉じ込めて
ソルトビーの作業がスタートするのは朝7時半から。晴れの日だけでなく雨の日も風の日も毎日作業を続けています。
まず原料となる海水は、工房から100メートルほど離れた場所からパイプを使って汲み上げられます。波のおだやかな満潮時のきれいな海水のみを使うそうで、台風の後など波が荒れて海水が汚れているときは採取しないんだとか。一回の採取にかかる時間は約2時間半。量はなんと10トンにものぼります!
汲み上げられた海水は、全長8メートルの【ネット式採かん装置】へと送られます。木製のタワー状になった装置の最上部から海水を噴射すると、ジクザグにはわせたネットを流れ落ちていき、その間に太陽熱と風力によって水分が蒸発。その工程を何千回と繰り返していくことで、塩分濃度の高い【かん水】が生まれます。
「お日さんと風の力で水分を飛ばしていく。まるで洗濯物を干すみたいにね。かん水になるまでには約一ヶ月かかる。10トン汲み上げた海水も、ほんの少しの量にしかならんのです」
そう教えてくれたのは作業歴10年になる渡辺春芳さんと石川隆幸さんです。
ろ過したかん水は【結晶ハウス】というビニールハウスに運ばれます。ここからは渡辺さん・石川さんら作業人の出番。一定量ずつ木箱に移されたかん水のミネラルが分離しないように、毎日ていねいに混ぜていく攪拌(かくはん)作業のスタートです。冬は約1ヶ月間、夏は2週間と短いですが、その代わりハウス内の温度は50~70度にまで上昇。慣れていても10分間作業するのが限界なんだそう。
「毎日攪拌をしないとカルシウムが底にへばりついてしまうし、粒が大きくなり口当たりが悪くなる。箱ごとの状態をみながら酸素を送るようにして攪拌し、お塩一粒一粒にミネラルを閉じ込めていくんです」
そうして自然結晶したものを袋に入れて遠心分離機にかけてニガリと塩に分け、粒の大きさを揃えればキラキラと輝く天日塩が誕生!しかし、まだ仕上げ作業が残っているんです。
最後の仕上げは【ゴミ取り】。
ピンセットを使いながら作業する渡辺信子さんが取り除いたものを見てみると、目を凝らさないと分からないような小さな小さなゴミでした。
「ゴミといっても自然のもので、塩には殺菌作用もあるので体になんら害はないんですけどね。日本人は完璧主義だから白いものは白くないといけないでしょう。どんなにいいお塩を作っても小さなゴミが入っていたら商品価値がなくなる。自信のあるお塩だからこそ最後まで手を抜かないんです」
田舎の小さな工房ですがそこで働く人たちは塩作りのプロフェッショナル。海と太陽と風、そこに人の情熱が加わって、見た目も味もキラリと輝く塩が生まれるのです。
豊富なミネラルがおいしさの決め手
食材のおいしさを引き立てる影の主役に!
時間も手間もかかる天日塩ですが、「おいしいお塩を作るためには手間は抜けません」とソルトビーのみなさんは言います。
一般的な塩は海水などを釜で炊いて一気に水分を蒸発させるので、早く出来上がり作業内容も簡単。しかし、高温によって多くのミネラル成分が壊れてしまうんだとか。塩化ナトリウムの値を見ても精製塩は99%以上ですが、ソルトビーの天日塩は91.7%。さらに、専門家に調査を依頼したところ、ソルトビーの天日塩には人間に必要なミネラルが60種ほど含まれていたそうです。生き物に必要なミネラル成分が豊富なため、塩を狙って蟻(あり)が来ることも多いというのも驚き。
「私たちが小さい頃は、海水をくんで浜で釜を炊いて塩を作ってましたが、天日塩に比べるとそれはそれはからいお塩やった。でも、自然の力で作る天日塩はまろやかさがある。味が全然違いますね」
そんなおいしい天日塩は、ソルトビーのみなさんの生活のなかでもちろん大活躍しています。
「うちの孫は塩おむすびが一番好き。野菜を食べさせるときにもちょっと塩をふってやると野菜の甘みが出て喜んで食べてくれる」
「私は絶対生魚を買ってきて、自分でこの天日塩をふる。すると抜群においしい!」
「お肉につけても絶品ですよ。タレよりも天日塩で味わうほうが、お肉のおいしさをそのまま実感できる」
そして、みなさんが最後に口を揃えて言うのが「天日塩なら、食材の味が引き立ってくる」という言葉でした。それはただの手前味噌ではないようです。ソルトビーの天日塩は、地元水産会社の大人気ギフト商品である「タタキセット」にも同封されており、おいしい塩タタキの味の決め手となっています。また、老舗の料亭や旅館、人気の居酒屋などプロの料理人も認める存在に。一般客からのお取り寄せなども含めると一年間に約4トンも売れているのだそう。
誕生までに多くの時間と手間を要しますが、人々から愛される天日塩を作るためソルトビーのみなさんは今日も一生懸命働きます。「お塩は隠れた存在だけど、全ての料理に入ってくる大事なもの。だからこそ、自然の力で作った、ミネラルいっぱいのおいしい天日塩を作っていきたいですね」
ソルトビーの人気商品
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土佐黒潮天日塩「海一粒」魚、肉、野菜など食材の味を高める天日塩。 |
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海一粒にがりお茶やコーヒーに一滴加えるだけで風味が豊かに変化。ビール、焼酎、味噌汁などあらゆる飲食物に利用してみて。 |
天日塩つくり体験もできます
各施設をまわって天日塩ができるまでの過程を学び、攪拌作業、採塩、ゴミ取り、袋詰めの作業を体験。さらに、ニガリを置いておくと沈殿する貴重な「浴用塩」を使って手洗いや歯磨きなども楽しめます。
・所要時間/60~90分
・参加費/一人1,000円
※体験の3日前までに予約を。
詳しくはお問い合わせください
生産者情報

企業組合ソルトビー
- 住所:〒789-1716 高知県幡多郡黒潮町佐賀熊野の浦
- 電話:0880-55-2040
- メールアドレス:salt-bee@ziba3.net