高知の生産者紹介

鳴子工房こだかさ

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土佐の風土が育んだ「鳴子」のはじける音色 /鳴子工房こだかさ

鳴子工房こだかさ

土佐の風土が育んだ「鳴子」のはじける音色 /鳴子工房こだかさ

年間約5万組を一つ一つ手づくり!
全国に4000以上の顧客を持つ鳴子工房

「鳴子工房こだかさ」イメージ高知を代表する祭りといえば「よさこい祭り」。
各チームが自由な音楽、自由な振り付け、自由な衣装で踊るこの祭りにおいて、どのチームも欠いてはいけない、いわばよさこい踊りの必需品となっているものが「鳴子」です。
もともとは稲穂に群がる害鳥を追い払う目的で、縄に板や小さな竹などを吊り下げ、揺らすと音が出る農具として作られたもの。後に手で持てる形に改良されよさこい踊りで使われるようになりました。

「鳴子工房こだかさ」イメージ高知市にある「鳴子工房こだかさ」。
母体である「こだかさ障害者支援センター」は、身体障害者授産施設として高知県内で最も歴史のある民設民営施設で、昭和55年から鳴子づくりをスタートさせました。
並々ならぬこだわりと緻密な作業によって生まれる鳴子は「音色が最高!」「壊れにくい!」「チームの個性がより強くなった」と評価が高く、有名チームから新参チームまで全国に4000以上の顧客を持つまでに成長しています。
「年間に作る鳴子は約5万組。障害者施設ですので残業をすることができませんから、一年中製作しています。
2月の終わりまでにストック品として1万組を作り、3月からはYOSAKOIソーランの注文がスタート。
高知の本祭を控えた6・7・8月は最盛期を迎えます」

「鳴子工房こだかさ」イメージ大量に製作するなかでも、高品質な鳴子を作り続けているのが同工房の見事なところ。全国から注文を集める理由もそこにあります。
「鳴子で最も大切なのは音色。3本のバチの開閉が同じ角度、かつ同じタイミングに揃っていないと良い音色は出ませんので、そこにはしっかりこだわっています。

そして、よさこい祭りは年々踊りが激しくなっていますので、それに対応できる丈夫さも大事。特に、県外のチームさんは月に一回のペースで祭りやイベントに参加するところもあり、一年中鳴子を使われます。
『こだかさの鳴子は壊れにくい』と感じていただけるよう、接着剤なども毎年改良を重ねています」

作業工程は驚くほど緻密。身体に障害のある方がそれぞれの得意な作業を受け持ち、一つになってスタンダードから特注品までさまざまな色・形の鳴子を製作します。

「鳴子製作は地場産業であり、目の前で自分の作った鳴子を持った方が踊っていることに皆誇りを感じています。また、製作風景を見学に来られるチームさんも増えており、【こんなにも手間と時間がかかっているとは思わなかった】など、いただいたたくさんのお言葉も皆の励みです」
よさこい祭りの繁栄を支えてきた、土佐の鳴子。その気持ちのいい音色は、職人さん達の熱意と努力の賜なのです。

鳴子ができるまで

1 素材となるのは2m級の高知県産ヒノキ板。厚みを整え、長さに合わせて切っていく。

2 鳴子の本体づくり。しゃもじの形にカッティング。
美しい塗装ができるように、表面全てをペーパーやすりでなめらかにしていく。

3 バチづくり。良い音色を出すためには、穴の位置が同じであることが重要。
1本1本手作業で穴を開ける。

4 色塗り。木は乾燥しているため、そのまま塗料をのせると染み込んでしまって色がのらない。
まずは透明の塗料を塗ってから表面を削り、木目が埋まるように平らに整える。そして、それぞれの色をスプレーしていく。

5 ミミの貼り付け。バチと本体をつなぐ役割を持つミミは、最も壊れやすい部分なのでしっかり貼り付けることが大事。
特注品も型に合わせて正確に貼り付ける。

6 スタンダードカラーの鳴子は本体の縁が黒色。スプレーでは塗装できないため、一つ一つ手塗りしていく。

7 バチの取り付け。バチを細い金属棒に通し、3本全てが均一に揃っているか確認しながら本体に取り付けていく。

8 最終確認。一つ一つ手に取って、3本のバチの開閉の角度やタイミングが揃っているか目視で確認していく。
少しでもズレがあれば、やすりで調整する。

特注品になると、これらの工程に加えて焼き印や各種印刷の作業も行われています。

全国へ広がったよさこい踊り
鳴子の可能性を高知から発信したい

いまや全国各地によさこい踊りのチームがあり、その個性も豊かになってきました。
しかし、衣装や音楽などにはチームの独自性を打ち出していても、鳴子にどこまでこだわることができるのか?
知らないチームもまだまだ多いそう。「だからこそ、私達からの提案が重要なんです」と友村さんは語ります。

同工房がまず提案したのは、12色の中から好きな色を選び、自由に配色ができるカラーチョイス鳴子。
ホームページ上から気軽にオリジナル鳴子が作れると評判を集めました。
また、自由な絵柄を鳴子に描けるシルク印刷、凝ったグラフィックデザインにも対応できるレーザー印刷、鳴子に彫刻をほどこすレーザー彫刻も導入。
シンプルで木の素材感が生きる焼き印加工は、ブームとなっているのだそう。

さらに、最近では「鳴子がどうやって作られているか知っていただきたい」と全国のよさこい祭り会場に出張して鳴子の組み立て教室や名彫りを実施。大行列ができるほど人気を集めています。

他にも、高齢者や障害者に向けたミュージックケア(音楽療法)、鳴子本体に写真をプリントした記念品としての利用、ミニサイズ鳴子をブライダルの席札として利用するなど、鳴子はよさこい祭り以外の場所でも活躍が広がっています。

そうした中でもやはり同工房がこだわってきたのは「鳴子の音色」だと言います。基本的な鳴子の原料となるのは高知県産ヒノキ。
間伐材を利用することで山を元気にしたいという思いもありましたが、やはり一番の魅力は良い音が出ることでした。しかし、近年では国産木材価格の低迷によってヒノキ板が減少。友村さんは高知県各地の木材市場をまわってなんとか入手していますが、輸送コストの面などで大きな問題を抱えています。そこで新素材として取り入れたのが、高知県産竹の集成材と桜の木です。

「竹の集成材も、桜の木も、音色が抜群に良い! 音にこだわるチームさんには特におすすめしています。また、竹の集成材に関してはエコマークを取得しており、環境意識が高いチームさんからも人気。近年、竹林が増えすぎて困っている山が多く、高知県も例外ではありませんが、竹の集成材を鳴子に活かすことで少しでも山を健康にできればとも思っています」

「踊り子さんが並んで踊るだけでは、よさこいとは言えません。鳴子が活かされてこそ、土佐のよさこい鳴子踊りだと思っています。最近のよさこい祭り授賞式で、ある審査員の方から【鳴子を正しくならしていないチームが多い】という講評があり、今年は鳴子のならし方に力を注いだチームさんが多く、とても嬉しかったです。

また、高知にいらっしゃる振り付けの先生は、鳴子の正しい持ち方やならし方をきちんとご指導してくださいます。
だからこそ、私たちは良い音色の鳴子を作り続けなくてはいけないし、鳴子の新しい提案をし続けなければいけないんです」

どの場所にあっても、どの季節においても、その心地よい鳴子の音色が響くたびに土佐を感じてもらえるように!ここ高知からこだわりと提案を続けています。

生産者情報

鳴子工房こだかさ

  • 住所:〒780-0928 高知市越前町2-4-5
  • 電話:088-873-0821

http://www.narukokobo.jp