日本を変えた土佐の偉人が愛した銘酒 /司牡丹酒造株式会社
司牡丹酒造株式会社
創業400年 高知で一番歴史が長い酒造会社
高知生まれの偉人たちとも深い関わりが
高知市から西へ、車で1時間ほどの場所にある佐川町。
県内屈指の桜の名所で知られ、あの世界的な植物学者・牧野富太郎氏の生誕地としても、にわかに注目を集めています。
そんな同町の中心商店街には歴史を感じさせる白壁の建物が並んでいます。通称「酒蔵通り」と呼ばれていますが、その酒蔵こそが高知県を代表する酒造会社「司牡丹」です。
創業は1603年(慶長8年)。
土佐藩主となった山内一豊公の首席家老・深尾和泉守重良が佐川一万石を預かることになり、その時に従えた商家の中の酒造りを担う「御酒屋」が前身と言われています。
高知の酒蔵会社の中で最も長い歴史を誇る同社は、戦後復興の立役者である吉田茂や植物学者・牧野富太郎博士など高知出身の偉人たちとも深い関わりがあります。
そして、高知が生んだヒーロー・坂本龍馬とも密接な関係を持っています。
坂本家の本家となる才谷屋は豪商で酒造りも営んでおり、司牡丹酒造の前身となる「黒金屋」とは、頻繁な交流があったことが分かっています。
社長の竹村昭彦さんの本家に龍馬直筆の手紙が所蔵されていることも有名です。
さらに、佐川の地が維新の志士を数多く輩出していることや、龍馬の脱藩の道に当たっていることでも、龍馬と司牡丹の深い関わりが想像できます。
実際の龍馬の時代には司牡丹の酒名はまだ付けられていませんでしたが、黒金屋の酒として同じ酒を飲んでいた可能性は高いのです。
うまい酒造りに大切なことは「米」、「技」、「水」
そして、代々受継いできた「心」を忘れないこと
品評会でも毎年数々の賞をとり、全国の酒好きから高い人気を集めている司牡丹の酒。そのおいしさの秘訣を社長・竹村さんにうかがうと、4つのキーワードを教えてくれました。
まずは、「米」。
「酒造りに一番良い米は【山田錦】ですが、生産が難しく収穫量が限られており高価なため、一般的には吟醸酒などの最高ランクの酒造りのみに使用されています。
しかし、司牡丹では戦前より特産地である兵庫県から取り寄せて、普通酒を含むほとんど全ての酒の麹米、酒母米にこの山田錦を使用しています(竹村さん)」
また、かつて米の二期作が盛んだった高知では山田錦の生産は行われてきませんでしたが、「高知の酒だから、高知の良いお米で造りたい」という思いから、15年前から地元・佐川町と土佐の米どころ・四万十町窪川にて、無農薬栽培の永田農法による山田錦の栽培をスタート。高知県産山田錦を使用した、より高知らしい地酒が誕生しています。
次は「技」。
酒造りにおいても後継者不足が危惧されるなか、司牡丹は平成15年に新しい酒蔵「平成蔵」を設立。
ここでは酒造りのすべての工程がオートメーション化されています。
「一般の方は『なんだ機械か』と思われるかもしれませんが、機械が技術を持っているのではなく、技術を持った人間が機械を使うことで理想どおりの酒造りができるようになったのです。
人間の手ではどうしても誤差が生じてしまいますが、機械であればより正確に仕事を行うことができる。
また、大吟醸でしか出来なかった技術が普通酒でも行えるようになり、圧倒的に品質が向上しました(竹村さん)」
平成蔵で新たな技を磨く一方で、昔ながらの手作業でしかできない仕事も大切に守り続けており、司牡丹は「人の技術ありきの進化」を遂げているのです。
そして、3つめは「水」。
「日本酒の原料の80%は水。水が悪ければ、どんな米や技を使っても良い酒は生まれません。
司牡丹の仕込み水は、日本一キレイな川と言われる仁淀川の伏流水。つまり、日本一キレイな水が仕込みに使われているということになります(竹村さん)」
しかし、仁淀川系の軟水は、かつて【酒造りに不向き】と言われてきたのだそう。
その定説を覆すために尽力したのが、現社長の曾祖父である竹村源十郎氏です。
源十郎氏は5年間の全国行脚の末、高知の軟水を使った酒造りには軟水醸造法の広島杜氏が適任であることを発見!
その第一人者である杜氏・川西金兵衛氏を同社へ招き、品質を格段に向上。
昭和13年の「全国清酒品評会」で四国で初めて、また唯一の「名誉賞」受賞をもたらしました。
まさに、「司牡丹の育ての親」である源十郎氏。その志を継ぐことが、最後のキーワードとなる「心」です。
昭和16年、当時全国で1万軒あった酒蔵の中から「特等格27銘柄」に選ばれるなど日本全国から高い評価を集めていた矢先、太平洋戦争が勃発。
翌17年には全国的な米不足となり、司牡丹の醸造石数も約十分の一にまで激減。
巷には不味い酒や健康を害する酒など粗悪品が蔓延しました。
そんな時にも源十郎氏は「酒の品質は落とすな!」と品質至上を貫き通しました。
終戦を迎え、戦後復興の足音が聞こえ始めた頃には、戦中戦後も貫き通した品質至上主義が不動の信用を得て、四国四県はもとより、大阪、名古屋、東京からも引き合いが殺到。「天下の芳醇・司牡丹」の名を全国に轟かせることになったのです。
「新時代を見据え、これまでの品質至上主義の上に【源・和・創・献】という社是を制定しました。この【源】とはまさに源十郎であります。
私たちは、目標に向かって邁進しながらもしっかりと地に足をつけ、源十郎を筆頭とする先人たちの心とつながっていきたいと考えています。
そして、司牡丹は高知でもっとも歴史の長い企業であり、高知の歴史とともに歩んできました。
坂本龍馬をはじめとする維新の志士、高知出身の首相である浜口雄幸や吉田茂にも愛飲されました。
高知から日本を変えてきた偉人達が皆、司牡丹を飲んできたということは我が社の誇りであり、良い酒を作ってきたという誇りでもあります。
彼らに恥じないよう、また、これからも多くの方に愛飲されるよう良い酒を造りたい(竹村さん)」
高知県には海山川があり、春夏秋冬の季節ごとにうまい食材があります。
そして、日本酒にも四季によって旬があるのだそう。
アルコール離れが進む昨今ですが、「季節の食と季節の日本酒の楽しさを伝えていきたい」と意気込む竹村さん。
その真っ直ぐさと司牡丹の酒の味が重なります。
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