「ごっくん」でおなじみの馬路村からユズの化粧品誕生 /馬路村農業協同組合
馬路村農業協同組合
新たなるユズの活路を模索
たどり着いたのは「化粧品」
高知県東部の山間部。清流・安田川の上流に位置する安芸郡馬路村は、ユズ飲料「ごっくん馬路村」の大ヒットでも知られる通りユズの特産地です。
「馬路村農業協同組合」ではさまざまなユズ製品が開発され、現在までに約60種類が販売されています。
ユズ製品といえば、これまではポン酢醤油や香辛料、お菓子、飲料などの「食品」が当たり前。
しかし、2011年3月、同組合が新商品として発売したのは、なんと「化粧品」だったのです。そのキッカケとなったのはユズにたくさん詰まっている「種」。
「ユズは柑橘類の中でも特に種が多いんです。しかし、果汁と皮は製品化できていましたが、種だけは有効活用されないままでした。この種を活用できれば、もっともっとユズ農家さんに還元できるのではないかと考えたんです。もともと高知県のユズの産地には、ユズの種を焼酎に漬けて自家製化粧水を作る文化がありました。そこに着目し、ユズの化粧品を製品化することを目標にしました(馬路村農業協同組合/長野桃太さん)」
化粧品に関する知識や技術は皆無でしたが、「自分達の商品は、自分達の手で作りたい」とこだわり、約10年の歳月をかけて勉強と試行錯誤を重ねました。
その結果、ユズの種子から美容に良いとされるエキスとオイルの抽出が可能となったのです。
そして、2009年に化粧品事業部を立ち上げ、2年の開発期間を経て、馬路産ユズの種子の成分のみをシンプルかつ贅沢に使った化粧品「umaji」が誕生したのです。
アトピー性皮膚炎のかゆみ抑制と美白効果
研究の結果、分かったユズの種子のチカラ
化粧品となると、気になるのはその使い心地です。
「umaji」は、肌本来の美しさを取り戻すことがコンセプトとなっており、"肌なじみ"は実にナチュラル。
スーッと軽い使い心地が楽しめます。
一瞬ほのかに香るユズや森林など村の豊かな自然をイメージさせる香りも魅力的です。
さらに、同組合はユズの種子から抽出されるオイルの効果について高知大学医学部と共同研究をはじめました。
すると、肌にうれしい効果があることが分かりました。
まずは、アトピー性皮膚炎のかゆみの抑制効果。
ダニの抗原を塗ってアトピー性皮膚炎を発症したマウスを使い、かゆみの原因となるヒスタミンの量の実験調査が行われたところ、欧州などで効くとされるオリーブ油と比べユズの種子のオイルはヒスタミンの量が4分の1以下になったといいます。
そして、オイルには肌のくすみを抑える美白効果が期待できるという研究結果も出ています。
オイルを4週間にわたって毎日0.5ミリリットルずつ腕に塗り続けた結果、メラニン色素の量が2割程度減ったというのです。
「ユズの種にそんなチカラが秘められていたとは…」と、産地の人々もビックリ!発表内容はニュースとなって高知県全体に広がりました。
日差しの強い高知県で色白美人に出合ったら、それはumajiを使っているのかもしれませんね。
人口1000人の小さな村から
高知県を支える産業を生み出したい
発売からわずか1年ほどですが「umaji」は使用者から好評を得ており、同組合にも嬉しい声が届いているそうです。
「馬路村のユズは有機農法に準じた方法で栽培されているので、『食品同様、安心安全だからうれしい』というお声をいただきます。
国産原料にここまでこだわっている商品はこれまでなかったと思いますので、【umaji】は胸を張って出せる商品ですね(長野さん)」
しかし、「まだまだこれから。今、スタートラインに立ったばかり」と長野さんは先を見据えています。
「馬路村のユズ農家さんは190戸。山ばかりの環境で、これ以上畑を増やすことは難しいのが現状。ですから、今収穫されているユズにどれだけの付加価値をつけられるかが重要です。人口も年々減少しているなか、若い人達にこの村に来てもらえるような、人口増につながるような産業に育てていきたいです。そして、いずれはユズの種の製品化が高知県全体の産業になっていってほしいですね(長野さん)」
目の前の目標は「umajiを高知県の全女性に使ってもらうこと。地産地粧(「消」が化粧の「粧」)にしていきたい」と語る長野さん。
小さな村から高知県全体へ、そして、全国、世界へとユズの新たな魅力が発信されています!
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